2022年11月27日日曜日

民俗芸能学会の乗っ取りについて

民俗芸能学会では、2年ごとに会員の互選で上位10名の理事を選出し、そのメンバーが協議してさらに10名程度の理事を指名し、20名程度の理事で学会運営の実務を担ってきました。

来年度からの役員を決める選挙が10月に行われ、開票結果が会員に送られてきました。以下に内容を転載します。

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上位得票者

① 茂木栄
② 鈴木通大
③ 野村伸一
④ 加藤健司
⑤ 風早康惠
⑤ 薗田稔
⑦ 吉田純子
⑧ 宇野正人
⑨ 堀内ふき
⑩ 茂木貞純

選挙管理委員:鈴木通大、野村伸一
有権者数:317名
投票総数:193票
有効投票数:175通
白票数:15通
無効投票数:3通
有効投票数:1360票

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今回の選挙で早稲田大学出身の会員はひとりも当選しませんでした。民俗芸能学会は発足以来、事務局を演劇博物館に置いてきましたし、本田安次さんや鳥越文蔵さんが学会運営のために多額の寄付をされるなど、早稲田大学との関係は非常に深いものでした。

前回の選挙では不正まがいのことが行われましたが、現代表理事の山路興造さんは理事・会員の指摘をなぜか無視し続けて放置してきました。そのため、それまで精力的に活動してきた会員が学会を去ることになりました。今回、本田安次の後継者といえる山路さんが落選し、そのかわりに民俗芸能での業績が皆無の方が当選したのは、民俗芸能学会が学術学会ではない別の何かに変わったということではないでしょうか。

2022年2月14日月曜日

2021年度「現代日本における地域市民演劇の諸相」研究集会

科学研究費・基盤研究(B):「現代日本における地域市民演劇の諸相」(研究代表者:片山幹生)では、2021年度研究集会をオンラインで公開して以下のように実施します。前身のプロジェクト「日本の地域素人演劇の包括的研究」の成果物である『「地域市民演劇」の現在』(2022年、森話社)の刊行記念も兼ねています。 

開催日時:2022年3月14日(月)10:00~15:00
参加費:無料

プログラム
【午前の部】 
 10:00- 日比野啓:『「地域市民演劇」の現在』について
 10:30- 小川史:崋山劇(愛知県)
 11:00- 片山幹生:切山歌舞伎(山口県)
 11:30- 鈴木理映子:劇団音芽(大阪府)

【午後の部】
 13:00- 舘野太朗:長崎まるごとシアター(長崎県)
 13:30- 須川渡:劇団生活舞台(福岡県)
 14:00- 畑中小百合:劇団四紀会(兵庫県)
 14:30- 本橋哲也:現代版組踊レキオス(沖縄県)

一部のみの聴講も可能です。参加を希望されるかたは3月13日(日)までにこちらから参加者登録をお願いします。登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。

地域市民演劇研究のブログもご覧ください。

2021年6月16日水曜日

2021年度日本演劇学会全国大会

日本演劇学会の全国大会が、6月26日、27日にオンラインで開催されます。

僕は、27日14時45分からのシンポジウム「いま、臨界点にある演劇:「現代版組踊」から、 演劇と地域、教育、産業を考える」に、司会・発表者として登壇します。

発表者は、片山幹生さん、 鈴木理映子さん。コメンテーターには、澤井万七美さん、永田靖さんをお迎えします。

僕は、創作和太鼓、創作エイサー、よさこい系ダンスなどの「新しい郷土芸能」の流れを参照しながら、現代版組踊についてお話しする予定です。27日の午前中には、平田大一さんと平田オリザさんの「W平田対談」も行われます。非会員でも参加可能とのことですので、関心あればぜひご参加ください。

申し込みと詳細は、日本演劇学会のWebページをご覧ください。

2021年5月16日日曜日

「温もり」とはなにか

 『民俗芸能学会会報』109号に、代表理事に就任した山路興造さんが「どっこい生きてる―代表理事より―」という文章を寄せている。内容を要約すると、以下の通り。

  1. 髙山茂代表理事の遺言により代表理事代行を引き受けたが、迂闊であった。複数の代表はうまく行くはずはない。
  2. 2020年2月ごろから新入会員が増えた。選挙は問題なく行われたが、新入会員が自分の知る人に投票したのに対し、旧来の会員が投票を怠ったため、選挙で選ばれる理事の顔ぶれが大きく変わった。それにともなって選挙理事によって選ばれる指名理事も変わった。
  3. コロナ禍のため、2020年度は、大会、例会、理事会が通常のかたちで開催できなかった。友人が「学会などの大会、研究発表やシンポジュームも大事だが、懇親会で人と顔を突きあわせ、情報を交換するのがより楽しくて重要だ」と言ったが、名言である。遠隔会議システムは便利だが、人間の「温もり」は薄い。「温もり」の伝わる学会運営を目指す。
1について。
代表理事代行3名による運営がうまくいかなかったのは、理事会メンバーが臨時理事会の開催を要求したのに、代表理事代行が応じなかったのが原因である。理事(の意見)を代表していないから解任したのであり、複数名であったことは関係がない。代表理事代行解任後に、山路興造さんと茂木栄さんは連名で、俵木悟さんの代表理事就任を不服として、一部の理事に内容証明郵便を送っている。2020年末の時点では代表理事代行の座にしがみつこうとしていたのに、「うまく行くはずがない」とは何か心境の変化があったのだろうか。

2について。
理事選挙は記名投票ではないのに、誰が誰に投票したかという憶測を公然と述べていることに唖然とする。組織的な入会があって理事会が乗っ取られたことを認め、開き直っていると見てよいだろう。僕は入会手続きに問題はあったが、選挙については適正に行われたと考えている。民俗芸能に関する業績のない方が当選しても、結果は受け入れるべきだし、それには誰も反対していないはずだ。ただし、新しく理事になった人とこれまで実質的に運営を担ってきた人が協力して方向を決めていくべきで、指名理事の枠でバランスをとることを考えるのが普通だろう。そういうことをせず、なぜか理事を全面的に入れ替えるという方針が取られた。

3について。
通常の会議と遠隔会議システムを使ったものが違うというのは、誰にでもわかることである。平時に戻ったときに、どのように使い分けるかが課題だろう。民俗芸能学会では、2020年7月理事会でZOOMを導入し、会場とオンラインの併用で会議を行った。全面的にオンラインにならなかったのは、代表理事代行であった山路興造さんと茂木栄さんが強硬に会場での開催を主張したからである。あまり知られていないが、民俗芸能学会では遠方に住む理事に対して、理事会に出席するための交通費を支給することになっている(会員の方は収支報告を見てください)。これまでに受給したことがあるのは、山路興造さんと神田より子さんだけである(神田さんは関東に戻ってからは受け取っていない)。山路さんが遠隔会議を否定し、対面に拘るのは、遠隔会議が常態化して交通費をカットされるのを恐れているからではないだろうか。「温もり」とは、要するに金のことではないかと邪推したくもなる。

2021年5月15日土曜日

民俗芸能学会主催「(仮題)福島の海と山から」の奇妙さ

民俗芸能学会の運営が正常でなくなっていることは以前書いた通り。今年度から理事会メンバーが大きく入れ替わり、昨年末に代表理事代行を解任された山路興造さんが代表理事に、茂木栄さんが事務局長に就任した。

5月12日に民俗芸能学会の会報(電子版)が届いた。第19期第1回臨時理事会(2021年4月10日)の報告に以下のような記述があった。

「令和四年・東日本大震災の新たな十年に向かっての鎮魂の芸能の企画(仮題)「福島の海と山から」・福島県浜通りにて、海に向かい奉納。「じゃんがら念仏」「権現様の舞」「浦安の舞」など三組程度が候補。・民俗芸能学会が主催すること、学会基金より二〇万円の拠出を決定。企画の具体に関しては、茂木理事を中心に継続審議とする」

 少なくともここ10年、民俗芸能学会で芸能公演を主催したことはなかった。研究を本分とする学会で芸能公演を主催する、しかも特定の地域で行うことには疑問がある。それよりも大きな問題は、理事会の判断だけで、20万円もの拠出を決めている点である。20万円は民俗芸能学会では大会費に匹敵する大きな額である。公演の日程も出演団体も決まっていない(明らかになっていない)のに、支出だけがはっきりしているというのが理解できない。

理事会の判断で臨時の支出を決めるという判断はありうる。例えば、2020年度に理事会の判断でZOOMの契約をしたが、通常の活動である理事会や研究例会が対面で実施できない状況に対応するためのものだった。新しい事業を立ち上げるのであれば、理事会で審議したのちに、総会で承認を得るという手続きを経るというのが常識的な流れであろう。

2021年3月21日日曜日

学会では研究の議論をしたい

 2020年7月20日、SNSのメッセージ機能を通じて、民俗学の研究会で一度会ったきりの方から僕あてに「ある方が入会金を負担するから民俗芸能学会に入らないか(「ある方」の個人名はあげていなかった)」というメッセージが届いた。僕は、すでに民俗芸能学会の会員だったし、なおかつ2017年度から理事として運営に関わってきた。学会によっては、学生会員の会費減免キャンペーンをしていることもあるが、民俗芸能学会では特にそういう措置はとっていなかった。秋に理事選挙を控えていることもあり、選挙の直前に第三者が会費を負担して、新入会員を入れるのは、一般的に「買収」と呼ばれる行為ではないか。僕が会員であること、学会として会費の減免措置は行っていないこと、選挙の直前にそういう行為をされるのは困るということを返信して、この件はなかったことにした。


2020年9月5日に民俗芸能学会の理事会が行われ、2020年度に入ってから大量に新しい会員が入ったことが報告され、当時、代表理事代行であった茂木栄さんから「(推薦人として自分が)努力した」という発言があった。民俗芸能学会に入会するには、一名以上の会員の推薦、会費の納入、理事会の承認が必要である。しかし、理事会による審査は実際には行われておらず、承認の確認も一切省略されていた。このとき、7月のやりとりを思い出したが、比較的スムーズに進んでいた会議が長引くことを避けるため、発言しなかった。会議終了後、日頃から親しくしている他の理事にメッセージの件について相談した。


理事会の直後に理事選挙が公示されたが、僕に勧誘メッセージを送った方が不利益を被ることがないように、すぐには理事会全体に公表しなかった。2020年9月21日に事務局から理事会のメーリングリストに送られてきた議事録に返信のかたちで「不適切な勧誘が行われたのではないか」という懸念を表明した。翌22日に事務局で会計を担当している理事から、同日に同一の金融機関から複数人の会費が振り込まれたという報告があった。この時点で選挙違反が強く疑われ、複数の理事から調査を求める意見が出た。茂木栄さんから「自分が調査するから、やりとりの証拠を提出せよ」という発言があったが、僕はそれを拒否し、第三者による調査を要求した。複数の理事から臨時理事会を求める意見が表明されるなか、茂木さんは「メッセージは舘野の捏造」と断定し、要求に応えなかった。


2020年10月6日に理事選挙の開票が行われ、新入会員を含む、これまで学会の活動に関わってこなかった(大会、例会に参加していない、あるいは紀要に原稿を書いていない)方が上位で当選したことが明らかになった。民俗芸能学会では、選挙の上位10名が理事になり、その他に、会の運営のため、当選者がさらに10名程度の会員を理事に選ぶという仕組みになっている。選挙の後に行なわれた当選者の話し合いで、これまで運営に積極的に関わってきた理事を外す決定がなされ、僕も今年度限りということになった。


民俗芸能学会では代表理事が理事会を要求することになっている。選挙をまたいで、理事21名中10名の連名で臨時理事会の開催を要求したが、三名の代表理事代行はそれに応じなかった。理事の意見を集約するために、2020年11月22日に「理事の会」を開催し、理事13名の承認を経て、代表理事代行を解任し、俵木悟さんを代表理事に選出することを決定した。解任された代表理事代行三名のうち、茂木栄さんと山路興造さんはこの決定を不服として、2020年12月31日に、俵木さんと事務局担当理事二名に対して、「法的根拠」の説明を求める通知を、弁護士を通じて送った。「通知」というと何ということはないが、要するに「訴えるぞ」という脅迫である。受け取った方によると届いたのはお正月とのこと。本人だけでなく、ご家族にも不安を与えたことだろう。


新年度からの民俗芸能学会は山路興造さんが代表理事になり、茂木栄さんもひきつづき理事をつとめるそうだ。僕は、仲間に対して、「捏造」と決めつけたり、脅迫したりする人間が研究組織の代表にふさわしいとは思えない。


ところで、茂木さんと山路さんは、僕やそれ以外の理事が新会員の入会を拒んだという話にしたいようだが、その事実はない。入会を希望する方なら誰でも歓迎で、選挙の直前に本人以外が会費を払って入会する(させる)という手続きを問題視してきた。あらぬ疑いを避けるためには、事前に理事会に説明する、入会手続きを選挙の後にするなど、いくらでもやり方はあったはずだ。それをしなかった、後から釈明もしなかったということは、選挙のために入会させる「加入戦術」であったと見られても仕方ないだろう。


2020年11月26日木曜日

オンライン地芝居サミット2020

オンライン地芝居サミットに出演します。
詳細や参加申し込みはPeatixのページをご覧ください。
どなたも無料で参加していただけます。

☆日程:12月20日(日)
☆時間:13時~17時
(配信中の出入り自由です。お好きなプログラムだけのご視聴も是非!)
☆料金:無料
☆視聴お申込み peatixのイベントページより
https://onlinejishibai2020.peatix.com/

●13時~
「口上 開演のことば『全国地芝居サミット』ってなんですか 
城井智子(全日本郷土芸能協会常務理事 ※全国地芝居連絡協議会副議長)
※全国地芝居連絡協議会(略称 全地連)
 
本イベント主催(公社)全日本郷土芸能協会に加盟する全国の地芝居団体や、関心を持つ個人によって構成。全国の地芝居関係者との交流を図り、地域社会における地芝居の保存振興と発展に寄与することを目的に平成10年に結成した。

●13時15分頃~
「日本の原風景 写真で巡る地芝居はじめて紀行」&「地芝居のまち」
山口清文(全国地芝居連絡協議会議長 写真家)
山本正実(埼玉県秩父郡小鹿野町 小鹿野歌舞伎保存会副会長) 

「町じゅうが役者」の埼玉県小鹿野町。江戸で修業を積んだ初代 坂東彦五郎が帰郷後、近所の若者に歌舞伎を教えたのが始まりで、山車型の「屋台歌舞伎」が大きな特長です。子ども歌舞伎、若手歌舞伎、女歌舞伎、さらには町民参加型の「入門教室」もあるというカブクのは当たり前な土地柄。

山口清文さんは新聞社を退職後に小鹿野町へ移住。在職中から小鹿野のみならず、全国各地の地芝居をファインダーにおさめてきました。とくに『日本地芝居写真紀行』は、今は見ることがかなわない地芝居の在りし日の姿も写した貴重な一冊。舞台裏の役者の表情やその土地の風景も含め、写真にみる地芝居の世界を伝えてくれます。

山本正実さんは、小鹿野町教育委員会社会教育課で、長らく公務員として小鹿野歌舞伎に関わってきました。自らツケ打ちも担当し「小鹿野歌舞伎の生き字引」とまで称される陰の立役者。実は、公務員が役者だったり、歌舞伎保存に関わる部署にいることは少なくありません。影の立役者から、近年自らも役者として舞台に立つようになりました。

今回の「写真で巡る地芝居はじめて紀行」は、この写真集をもとに、山口&山本のヤマヤマコンビでお送りします。
各地を実際に訪れたからこそ語れる、特色ある地芝居のお話しを楽しみましょう!

●14時10分頃~
「体験、地歌舞伎ガイドツアー!」

足立伊公子(地歌舞伎案内人&岐阜県恵那市東野歌舞伎保存会役者)

岐阜県は全国最多30を超える団体が活動する「地芝居王国」。ここでは「地歌舞伎」と称し、岐阜の宝物として大切にしています。
足立さんは、そんな地芝居王国の歌舞伎保存会の役者であり、バスツアー仕立てで観客を招き、バス道中から地芝居にまつわるあれこれのガイドをされている方。自らも舞台に立つ役者ならではの裏話も。単なる地芝居の楽しみ方解説に…とどまるはずがない。

●15時頃~
「親子で役者!教えて祇園座さん―子ども歌舞伎編―」
鎌田義美(香川県高松市 祇園座保存会)
鎌田紋妃(香川県高松市 祇園座保存会 子役 中学1年生)

香川県では、小豆島の農村舞台がある肥土山と中山、子どもたちが役者となる曳山系舞台の白鳥、そして高松市の祇園座の四つが活動しています。祇園座は高松市香川町東谷の平尾八幡神社に奉納され、江戸時代後期に、若者が徳島に藍染の出稼ぎに行きに習い覚えてきたのが始まり。地芝居の役者には「親子で役者」「三代で役者」も少なくなく、今回は、父も役者(兼会長、義太夫担当)、母も役者(兼事務局)、そして子役で看板娘さんという一家より、“父と娘コンビ”が出演。地芝居をつないでいくのは後継者。その子役自らが語るめったにない機会です。  

●16時15分~
「ここだけのはなし 地芝居あれこれ談義」
今回の登壇者勢揃い、主催の(公社)全日本郷土芸能協会と、企画の※地芝居ポータルも参戦し、『地芝居ここだけでね』、な裏話などなどを。ご鑑賞されている皆さまからのご質問も、お待ちしております。

※地芝居ポータルhttps://jishibaiportal.com/
インターネット上に、全国の地芝居に関する情報サイトを2011年に設立・運営している団体。

蒲池卓巳 

地芝居ポータル代表。愛知県名古屋市でお寺の住職を務める傍らで地芝居を追いかけている。追いかけるうちに役者となり、義太夫を習ったりとますます抜け出せなくなる。現在は育児のため地芝居は休業中。

北河直子

中野区立歴史民俗資料館学芸員。学生時代に中京地域の獅子芝居を追いかけ、同時に見始めた地芝居のおもしろさにハマる。地芝居で好きなのは、底意地の悪い女性役全般。

舘野太朗

民俗芸能学会理事。三十代半ばにして芸歴は20年をこえるベテラン役者であり(ただし、10年の中断期間あり)、世界で十指に入る地芝居の研究者(いま地芝居を研究している人は10人もいない)