日本演劇学会、秋の研究集会で発表します。
2015年度 日本演劇学会 研究集会
◆テーマ:古典劇の現代上演
◆日程(詳細)
2015年10月24日(土) 10:30~17:40
懇親会 18:00~20:00
10月25日(日)10:00~17:10
◆会場
法政大学市ヶ谷キャンパス富士見坂校舎 ボアソナードタワー25階・26階
詳細はこちら
―――――――――――――――――――――――――――
古典劇の研究と実演 ―学生歌舞伎を事例として―【発表要旨】
学生による歌舞伎の実演(学生歌舞伎)は、坪内逍遥が早稲田大学の学生と『地震加藤』を上演した事例があるが、太平洋戦争後に東京都内の各大学で盛んに行われるようになる。三島由紀夫は、1952年の短編『学生歌舞伎気質』で、歌舞伎を演じる学生たちの姿を新制大学の象徴として描いている。1957年には、松竹が学生歌舞伎から「学士俳優」を採用して、彼らを関西歌舞伎へ送り込んだ。当時の評論家は学生歌舞伎には否定的で、例えば戸板康二はたびたび批判してきた。学生の間でも、実演を行う大学と「観劇専門」を貫く大学とで、たびたび論争が交わされてきた。実演派の学生たちは「研究」を実演の大義名分に掲げて論陣を張ってきたが、実演の是非をめぐる論争は1967年を最後に見られなくなる。それは、歌舞伎の文化財指定、国立劇場の開場と同時期であった。
現在、古典藝能の研究者が実演の稽古をするのは音楽や能楽の方面では珍しくないが、歌舞伎研究においては稀であろう。そのなかで、学生歌舞伎は正課の教育研究活動ではないものの、研究を志向する者による実演として注目に値する活動である。本発表では、学生歌舞伎の是非をめぐる論争を軸に、歌舞伎の研究と実演をめぐる問題を考察する。学生歌舞伎のほとんどは東京都内で上演されてきたが、宮城教育大学の「垣内座」、南山大学の「南山大学歌舞伎」といった地方のユニークな活動も可能な限り紹介したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿