2021年5月16日日曜日

「温もり」とはなにか

 『民俗芸能学会会報』109号に、代表理事に就任した山路興造さんが「どっこい生きてる―代表理事より―」という文章を寄せている。内容を要約すると、以下の通り。

  1. 髙山茂代表理事の遺言により代表理事代行を引き受けたが、迂闊であった。複数の代表はうまく行くはずはない。
  2. 2020年2月ごろから新入会員が増えた。選挙は問題なく行われたが、新入会員が自分の知る人に投票したのに対し、旧来の会員が投票を怠ったため、選挙で選ばれる理事の顔ぶれが大きく変わった。それにともなって選挙理事によって選ばれる指名理事も変わった。
  3. コロナ禍のため、2020年度は、大会、例会、理事会が通常のかたちで開催できなかった。友人が「学会などの大会、研究発表やシンポジュームも大事だが、懇親会で人と顔を突きあわせ、情報を交換するのがより楽しくて重要だ」と言ったが、名言である。遠隔会議システムは便利だが、人間の「温もり」は薄い。「温もり」の伝わる学会運営を目指す。
1について。
代表理事代行3名による運営がうまくいかなかったのは、理事会メンバーが臨時理事会の開催を要求したのに、代表理事代行が応じなかったのが原因である。理事(の意見)を代表していないから解任したのであり、複数名であったことは関係がない。代表理事代行解任後に、山路興造さんと茂木栄さんは連名で、俵木悟さんの代表理事就任を不服として、一部の理事に内容証明郵便を送っている。2020年末の時点では代表理事代行の座にしがみつこうとしていたのに、「うまく行くはずがない」とは何か心境の変化があったのだろうか。

2について。
理事選挙は記名投票ではないのに、誰が誰に投票したかという憶測を公然と述べていることに唖然とする。組織的な入会があって理事会が乗っ取られたことを認め、開き直っていると見てよいだろう。僕は入会手続きに問題はあったが、選挙については適正に行われたと考えている。民俗芸能に関する業績のない方が当選しても、結果は受け入れるべきだし、それには誰も反対していないはずだ。ただし、新しく理事になった人とこれまで実質的に運営を担ってきた人が協力して方向を決めていくべきで、指名理事の枠でバランスをとることを考えるのが普通だろう。そういうことをせず、なぜか理事を全面的に入れ替えるという方針が取られた。

3について。
通常の会議と遠隔会議システムを使ったものが違うというのは、誰にでもわかることである。平時に戻ったときに、どのように使い分けるかが課題だろう。民俗芸能学会では、2020年7月理事会でZOOMを導入し、会場とオンラインの併用で会議を行った。全面的にオンラインにならなかったのは、代表理事代行であった山路興造さんと茂木栄さんが強硬に会場での開催を主張したからである。あまり知られていないが、民俗芸能学会では遠方に住む理事に対して、理事会に出席するための交通費を支給することになっている(会員の方は収支報告を見てください)。これまでに受給したことがあるのは、山路興造さんと神田より子さんだけである(神田さんは関東に戻ってからは受け取っていない)。山路さんが遠隔会議を否定し、対面に拘るのは、遠隔会議が常態化して交通費をカットされるのを恐れているからではないだろうか。「温もり」とは、要するに金のことではないかと邪推したくもなる。

0 件のコメント: